京都の弁護士鈴木順子の離婚のポイント紹介(面会交流について③)
こんにちは、京都の弁護士の鈴木です。
京都は人口の規模と比較して、大学生の数が多いらしく、
学生さんの街と呼ばれることがあります。
電車の中でも参考書や単語カードを持った学生さんの姿をよく目にしますが、
今年のセンター試験も近づいてきているのですね。
(ちなみに、今日1月13日は、国公立大学入試ではじめて共通一次試験が実施された日だそうです。)
私自身が受験生のころ、風邪をひいたり、熱を出したり、と体調管理が大変でしたので、
受験生の皆さんの姿をお見かけすると、風邪をひかないように、がんばってね、と心の中でエールを送っています。
さて、今日は、前回の続きの記事で、
離婚の際のポイントの1つ、面会交流の条件についてご案内します。
実際に面会交流においてどのような条件を決めるかについてですが、これも事案によって様々です。
頻度・回数(年に何回、月に何回)及び連絡手段(監護親と連絡を取るのか、子ども本人と直接連絡を取るのか。電話・メール・LINE等どのような連絡手段をメインとするのか。)を決めて、後はその都度その都度詳細な態様・方法を決めるという事案が多いという印象です。
子どもの成長や父母の状況の変化に応じて、適切な面会交流の方法等は日々変化していくものです。一度決めた条件も変更が必要となりうる場面が来ることが自然だと感じています。
ですので、弁護士としても、離婚後の父母双方が協力しあって、面会交流が実現可能な事案については、頻度・回数を取り決め、連絡手段を確認することで十分かと考えています。
このような決め方をした場合、先日のブログでご案内した、監護親が面会交流を許さない場合の間接強制決定を出すことは難しいといえますが、
こういった条件で、お子さん本人の事情に応じた充実した面会交流ができている事案が多くあります。
どのような面会交流をすれば良いか、ご相談を受けることもありますが、お子さんがまだ小さい場合は遊具のある公園や施設(京都市内にお住いの乳幼児さんの場合、「京都市子育て支援総合センター こどもみらい館」などをご案内することもあります。)で一緒に遊んだり、動植物園などで時間を過ごされる方が多いようです。
また、京都の場合、多くの神社仏閣がありますので、小学校高学年以上のお子さんとの面会交流でそういった場所を選ばれる方もいます。
境内や庭を散策しながら、落ち着いた雰囲気の中で、ぽつぽつお話をするといった態様の面会交流が好評とのことです。
もっとも、京都の神社仏閣は参拝客も多いので、時期と場所は選ぶ必要はありますが。
なお、あくまでも、こういった話は、離婚後に面会交流が可能なケースについてのことです。DV案件など面会交流を行うこと自体を問題にすべきといった事案ももちろんあります。
家庭裁判所において離婚の調停を行っている場合は、未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、原則として面会交流を行うという方針で調停を進行していますので、面会交流が適当でない事情について十分に説明する必要があるといえます。
面会交流のご相談を受ける際に、もう一つ良くお伺いするお話が、「養育費」とのかねあいです。
「養育費も支払わないのに、子どもと会わせろと言ってきている(ので会わせたくない)」「養育費を払っているのに、子どもと会わせてもらえない(ので養育費は支払いたくない)」、どちらも良くご相談を受けます。
どちらの立場からも辛いお気持ちをお伺いするので、回答するのも大変申し訳ない気持ちになるのですが、養育費は面会交流の対価というわけではないので、養育費は養育費、面会交流は面会交流で分けて考え、(場合によっては)行動する必要があります。
養育費はどういうもので、どのように決めるのか、については別のブログでご案内したいと思います。
京都の弁護士鈴木順子の離婚のポイント紹介(面会交流について②)
こんにちは、京都の弁護士の鈴木です。
朝食で召し上がった方も多いかと思います。
関西ではまだ松の内ですが、七草粥を食べるとお正月も終わった気持ちになります。
今日は、前回に引き続いて、離婚の際のポイントの1つ、
面会交流についてのブログです。
前回、面会交流をすることが決まっている場合、子どもを同居していない親(非監護親)と会わせないことは、「監護親は、非監護親が子と面会交流することを許さなければならない」義務の違反であるというお話をしました。
実際、面会交流の際に定めた条件を守らなかった、
たとえば、子どもを引き渡す(個人的には違和感のある用語なのですが、裁判所等では、この用語を使用しているので、そのまま使います。)と約束した場所や時間に、非監護親に対して子を引き渡さなかったり、
非監護親と子との面会交流を妨害するなどした監護親に対し、裁判所が「間接強制決定」をすることができる場合があるとされています。
間接強制決定とは、裁判所の判決等で、何らかの行為をしなければならないと定めたにもかかわらず、当該行為をしなかった場合に、不履行の期間や回数に応じて金銭を支払うことを命じる決定です。
面会交流の場合は、家庭裁判所の審判で面会交流の条件を定めたにもかかわらず、
監護親が非監護親に対し面会交流を許さなかった(面会交流の際に定めた条件に違反した)回数1回につき、
監護親が非監護親に対し金銭を支払うという命じる決定などが考えられます。
実際、監護親に対し、面会交流を許さなかった回数1回につき5万円を非監護親に支払うよう命じた決定もあります。
この決定の事案でも、監護親は「子ども自身が非監護親との面会交流を拒絶している」と反論していますが、裁判所はそのような理由は面会交流を許さないことを認める理由とはならないと判断しています。
もっとも、面会交流を許さない事案の全てで間接強制が認められているわけではありません。
実際に間接強制決定が下るような面会交流の条件を決めるためには、弁護士の専門家の知識が必要となります。また、そもそも、子どもの利益などを考えた場合には、そのような条件の決め方をしない方が望ましいケースも多いといえるからです。
さらに、間接強制決定が下った場合も、監護親が面会交流を許さなかったからといって、その都度自動的に非監護親の口座に強制金が振り込まれるというものではありません。
弁護士として様々な面会交流の事案に接していますが、
結局、子どもの利益となる面会交流を実現するためには、父母双方の協力と理解が必須といわざるをえない
という当たり前のことを実感するばかりです。
とはいえ、離婚の際に面会交流をすると決めたのであれば、監護親が、非監護親と子どもを会わせないようにするというのは、一度した約束を守っていないことに違いはありません。
お子さん本人が非監護親に会いたくないと言っているなど面会交流ができない・望ましくない事情がある場合には、一度決めた面会交流を禁止したり、面会交流の条件を変更するために、非監護親と話し合ったり、家庭裁判所へ調停や審判を申し立てることが必要になるといえます。
それでは、実際に面会交流においてどのような条件を決めるのか。
これについては、次回のブログでご紹介いたします。
京都の弁護士鈴木順子の離婚のポイント紹介(面会交流について①)
新年あけましておめでとうございます。
京都の弁護士の鈴木です。
弊所は、昨日1月4日が仕事始めでした。
また1年、新しい気持ちで精進してまいりたいと思います。
さて、今回は、前回予告しておりました、離婚の際のポイントの1つ、面会交流についてのブログです。
面会交流とは、離婚後親権者・監護者とはならず、子を監護養育していない親とその子が面会し、交流することを指します。
要するに、離婚後離れて暮らすことになった親子が、会って、話をしたり、遊びにいったり、食事をしたりするなどの交流を行うことです。
10年以上前の裁判所では、「面接交渉」という呼び方をすることが多かったのですが、改正民法に、協議上の離婚をするときに、「父又は母と子との面会及びその他の交流」等を定めると規定されていることから、最近では「面会交流」と呼ばれることが一般的となっています。
面会交流権は、法律上は、親として有する固有の権利であり、人格の円満な発達に必要な両親の愛育を求める子の権利であると考えられています。
もちろん、離婚後子どもと離れて暮らす親(法律上「非監護親」といいます。)にとっての権利であるということは、子どもと一緒に暮らしている親(法律上「監護親」といいます。)にとっての義務ということになります。すなわち、「監護親は、非監護親が子と面会交流することを許さなければならない」とされているのです。
面会交流について、夫婦間の話合いがまとまらない場合には、裁判所が、面会交流の日時や場所等を決めることになります。
具体的には、面会交流について条件を決めることを求める夫婦の一方が、他方を相手方として、裁判所に調停や審判を申し立てることになります。
裁判所は、調停の申立てがあった場合、期日を定め、夫婦双方を裁判所(京都市内に住所がある夫婦の場合は出町柳の京都家庭裁判所)に呼び出します。
その上で、裁判所の職員(調停委員)を通じて、双方の言い分を聴取し、合意が可能な条件について話し合うことになります。話合いがまとまれば、話合いで決まった条件で面会交流が行われることになりますし、話合いがまとまらなければ、裁判所が双方の言い分や子どもの利益等諸般の事情を考慮して、適当な条件を定めることになります。
面会交流の条件を決めるにあたっては、何より子どもの福祉が尊重されます。実際、家庭裁判所において、面会交流の条件が定められるにあたって、子ども本人の意思を確認することが必要となる事案もあります。その場合には児童心理等の専門家(家庭裁判所調査官)が子ども本人と面談してその意思を確認することもあります。また、子どもが非常に幼いうちから長期間非監護親と別居していたケースなどでは、子どもが非監護親とどのように接するか、家庭裁判所において、試しに会って見極めた(このような面会交流を「試行的面会交流」といいます。)上で面会交流の条件を定めることもあります(多くの家庭裁判所にはおもちゃなどが用意された部屋が設けられており、その部屋で試行的面会交流が行われることが多いです)。
離婚の際に、親権・面会交流の条件が争いになる事案を何度も担当させていただいたことがありますが、どのような話合いによって、どのような条件が定めるかは事案ごとで全く違うと感じます。家庭裁判所調査官が関与するケースは少なからずありますが、お子さん本人が家庭裁判所調査官と面談等するケースはそう多くないのではないか、と感じています(決して珍しいわけでもないですが。)。
離婚の法律相談を担当させていただくと、「離婚する時に面会交流の条件を決めたけれど、子どもが相手の親に会いたくないと言っているので、会わせない。」とおっしゃる方がおられますが、法的には、上記監護親の義務違反となります。
それでは、義務違反の場合、どういったことが起こりうるのか。これについては、次回のブログでご案内いたします。
京都の弁護士鈴木順子の離婚のポイント紹介(親権について)
京都の弁護士の鈴木です。
全国的に気温がぐっと下がっておりますが、京都もぴりっとした冬の空気に変わりました。
私はとにかく寒いのが苦手なのですが、美しいイルミネーションをあちこちで見ることができるのは嬉しいです。
京都では花灯路のイベントももうすぐ行われます。
さて、今日は、最近ご相談いただくことが多い、親権についてのブログです。
親権とは、親が未成年の子を一人前の社会人に育成するために果たすべき責任を指します。
民法上の定義としては、父母が未成年の子に対して持つ身分上及び財産上の養育保護を内容とする権利義務の総称として考えられ、身上監護と財産保護に大別されます。
民法は、身上監護として、監護教育権、居所指定権、懲戒権、職業許可権などを、
財産保護として、財産管理権・財産的法律行為代表権などを定めています。
つまり、親は、未成年の子どもを成熟した社会人となるよう育てるために、
身体・精神の発達のために必要な行動をし、
そのために子どもの居場所を定めたり、
時に教育のために必要な限度で罰を与えたり(必要な限度を超える罰は民事上刑事上違法となり、親権喪失の一因ともなりますが)、
子どもの保護のために職業を制限したり、
適切に財産管理をするなどの
権利と義務を負っているということになります。
婚姻期間中は父母の共同親権ですが、
離婚後は日本法においては父母どちらか一方の単独親権となります。
父母の協議によって親権者が定まらない場合には、最終的には裁判所が父母の一方を親権者と定めることになります。
親権者を決めるにあたっては、様々な事情が考慮されますが、
①従前の監護状況
②親側の事情として、
・監護体制の優劣(経済状態、居住環境、家庭環境、教育環境)
・子に対する愛情、監護意思
・本人の心身の健康状態
・監護補助者の有無
③子側の事情として、
・子の年齢、心身の状況
・環境の継続性
・子の意思
などが主たる考慮要素となります。
なかでも現在の監護状況は重要で、
裁判所においても、虐待や育児放棄などがない限り、現に養育している者が優先されるべきと考えられています。
お子さんがいらっしゃる夫婦間での離婚は、まず親権が悩ましい問題となってきます。
離婚が成立し、実際に父母のいずれか一方が親権を有し、子どもと生活を共にしている場合、
子どもと生活を共にしていない親は、子どもと面会し、交流すること(面会交流といいます。)によって、
子どもの成長に関わることになります。
面会交流については、次回のブログでご紹介いたします。
京都の弁護士鈴木順子のイベント案内(第45回憲法と人権を考える集い)
こんにちは、京都の弁護士の鈴木です。
朝晩ぐっと冷え込む季節となりました。
風邪やインフルエンザの対策がそろそろ必要となってくるのを感じます。
今日は、京都弁護士会主催のイベントについてご紹介します。
毎年11月、京都弁護士会は「憲法と人権を考える集い」と題して
市民の皆様と共に、文字通り憲法や人権について考えるイベントを催しています。
今年は第45回です。
11月15日午後1時半~
国立京都国際会館のアネックスホールにて開催いたします。
タイトルは、
「オンナもオトコも働きやすい社会へ
京都発信!ワーク・ライフ・バランスと企業活動の両立を考える」
日本の企業と労働者が抱える問題を様々な方向から考えて参ります。
私も、総合司会として参加させていただきます。
ご興味ある方はぜひお越しください。
京都の弁護士鈴木順子の裁判期日活動編(弁論準備手続編)
こんにちは、京都の弁護士の鈴木です。
今日は京都の事務所にて執務をしておりましたが、雨が続き、すっきりとしないお天気でした。
暦では秋ですので、秋晴れの空を早く見たいと思っています。
今日は、訴訟の期日についてのブログです。
以前、民事事件の第1回期日について、少し書かせていただきましたので、今日はその続きにあたります。
第1回期日を終えた後、通常、原告被告双方様々な主張を行い、相手方の主張に反論し、証拠を提出することになります。
第1回期日では書面のやりとりが行われて終わることが多いのですが、主張や証拠が出てきて、事件のどの点が当事者双方で一致し、どの点が争いになってくるのかが分かってくると、代理人弁護士や裁判所から直接質問や意見が交わされることも多くなります。事件を迅速に解決するためには、このようなやりとりが重要になってきます。
このとき、裁判所が何らの決定もしない場合、原告被告のやりとりは、裁判所の法廷で行われます。原告被告双方が期日に裁判所に行く必要があります。
たとえば、京都に住んでいる方が原告となって東京の被告に訴訟を提起した場合、約1月ごとの期日のたびに、代理人の弁護士が東京の裁判所に行く必要があります。当然、その分交通費等がかかってくることになりますが、これは基本的に原告本人が負担しなければなりません。
また、原告被告のやりとりは、原則として公開の法廷で行われることになります。どなたでも傍聴することができるわけです。事件の内容によっては、当事者のプライバシーと密接に関連するなどの理由から、公開の法廷では質問や意見の交換を行うことが適切ではない場合もありますが、裁判所が特段の決定をしない場合は公開の法廷で進めることになります。
そこで、このような場合、裁判所は事件を弁論準備手続に付す旨を決めることが一般的です。
弁論準備手続とは、争点と証拠の整理のために飛鳥があると裁判所が認める場合に設けられる手続きです。公開の法廷で行われる通常の口頭弁論期日に比較して、柔軟性があるとされています。
たとえば、弁論準備手続に付した場合、電話会議システムを利用することが可能です。遠い裁判所へ実際に行かなくとも、裁判所や相手方の弁護士とやりとりをすることができるようになるわけです。電話会議システムにもデメリットがあるのですが、電話会議システムを使うメリットが大きい場合、代理人弁護士としても積極的に裁判所に弁論準備手続に付すよう求めます。
また、弁論準備手続の期日の場合、原則として手続きは非公開となります。第三者に知られることにより当事者のプライバシーが侵害されるおそれがなくなるため、率直に意見を交わすことができます。なお、この場合も当事者ご本人や、裁判所の許可を得た利害関係者(原告の会社の担当従業員など)は傍聴できますので、ご安心ください。
私がこれまで経験した裁判所の手続では、このような弁論準備期日を経て、争点と証拠を整理した上で、尋問が行われ、判決に至るという流れが比較的多いように感じています。
尋問以降の裁判の流れはまた別の機会にご紹介させていただきます。
京都の弁護士鈴木順子の全国裁判所紹介①(高知地方裁判所)
こんにちは、京都の弁護士の鈴木順子です。
京都では、毎日蒸し暑い空気が町の中を巡る暑い日々が続いています。
ところで、弁護士はその職業柄、全国各地の裁判所を訪れることがあります。
今日は、京都よりもなお暑い(であろう)南国高知の裁判所のブログです。
高知地方裁判所のHPによりますと、高知の裁判所は、明治8年に開庁しました。
開庁当時は、県庁に間借りしていたとのことですが、明治9年に高知城の下屋敷に移転し、現在に至っているとのことです。
写真の現在の庁舎は平成16年に新築されたもので、新築にあたって行われた発掘調査では、「松平土佐守様御用讃岐や」と記入された荷札や城主山内家のみが使用できた三葉柏紋の軒丸瓦が出土したそうです。
全国の裁判所において、お城の敷地内に設けられていることは決して珍しくはないのですが、裁判所に行った帰りに綺麗な天守閣を見ることができるとなんだか得をした気持ちになれます。
ちなみに、全国にある弁護士会の会館は、多くの場合、裁判所のすぐ近くにあります。高知弁護士会の会館も裁判所から徒歩5分ほどの位置にあるそうです。(残念ながら写真は撮れませんでしたが。)
全国の裁判所へ行くと、やはり京都の裁判所との違いを感じます。
また、写真等を撮影しましたら、ブログにあげさせていただきます。