弁護士工藤寛太(京都弁護士会所属)の刑事手続案内(3)

京都の弁護士、工藤寛太です(京都弁護士会所属)。

本日は、刑事事件における私選弁護人と国選弁護人についてのブログです。

ご存知の方も多いかと思いますが、刑事事件の弁護士には、私選弁護人と国選弁護人の2つがあります。
私選弁護とは、損害賠償事件や離婚事件などと同じように、弁護士費用を支払って、弁護士に刑事弁護活動を依頼するというものです。私選弁護であれば、弁護士を誰にするのかを選ぶことができます。
国選弁護は、その名のとおり、国が弁護士を選任し、選任された弁護士が刑事弁護活動を担当するというものです。国が選任するので、弁護士を選ぶことはできません。弁護士費用を払う資力がない被疑者・被告人が対象であり、弁護士費用は国の負担です。
もっとも、資力が十分でない場合には必ず国選弁護人が付くのかというと、そうではありません。被疑者段階、つまり警察や検察が捜査している段階では、国選弁護人を付けられる事件は限定されています。具体的には「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件」であることが必要です。そのため、刑がここまで重くない犯罪(例えば、迷惑防止条例違反の痴漢・盗撮など)では、起訴されて被告人の地位になるまでは、国選弁護人が付きません。
しかし、被疑者に弁護士費用を払うお金がなく、国選弁護の対象犯罪でもないというケースは少なくありません。そのような場合に対応して、被疑者援助という制度が設けられています。これは、弁護士費用の分割返済、場合によっては返済の免除を認めるシステムで、弁護士費用を一括で支払うだけのお金がなく、かつ国選弁護人を付けることができない事件でも、私選弁護を依頼できるという効果があります。