弁護士鈴木順子(京都弁護士会所属)の裁判期日活動編(管轄編)

こんにちは、京都の弁護士の鈴木です。

昨日・今日と、京都でも少し過ごしやすい気温でしたので、京都地方裁判所やその近くの京都弁護士会館へ行くのも大汗をかかずにすみました。

f:id:allone:20140829181331j:plainまた夏の気温が戻ってくるようですが、できればこのまま過ごしやすい気温であってほしいというのが本音です。

弁護士の職務上、各地の裁判所へ行きますが、(バスは除く)最寄りの駅から遠い裁判所が多いように感じます。なので、特に真夏や真冬の裁判期日の場合、もうちょっと近くに駅ができたらいいのに、と思いながら、各地の裁判所へ行っています。

今日は、そういった各地の裁判所の役割分担・管轄のブログです。

 

全国には、数多くの裁判所があります(地方裁判所だけでも、50の本庁と203の支部があります。)が、いざ裁判を起こすにあたって、どの裁判所に起こすことができるのか、が管轄の問題です。管轄のない裁判所に裁判を提起しても、通常は管轄のある裁判所に移送されてしまいます。
そして、管轄があるかないかは民事訴訟法によって定まっています。まず大原則として、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所、つまり被告の住所の近くの裁判所には管轄があります。また、訴えの種類によっても管轄は決められており、たとえば交通事故などの不法行為について裁判を提起する場合には、不法行為のあった場所を管轄する裁判所に管轄があります。さらに、訴訟を提起する金額や事件の種類など、様々な要素で、管轄を有する裁判所は変わってきます。

ところで、多くの弁護士が裁判を提起する際に、依頼者の住所の近くの裁判所で手続きを進めることができないか、と考えます。というのも、裁判を提起した後に尋問などで、依頼者に裁判所に来ていただく可能性があるからです。たとえば原告(依頼者)が京都、被告が旭川に住んでいた場合、大原則として、被告の住所の近くの裁判所である旭川の裁判所に管轄があることになります。(ちなみに日本最北の地方裁判所家庭裁判所旭川、最南が那覇地裁・家裁の石垣支部とのことです。京都からですと、飛行機・新幹線を使って6時間ほどかかるようです。)やはり、依頼者に行っていただくのは大変です。弁護士としては、依頼者と事件の相手方の住所が離れている場合には、何とか依頼者の近くの裁判所にできないか、民事訴訟の規定を見ながら考えるわけです。

私の担当したなかでも、依頼者が京都、事件の相手が鳥取にいる事件があったのですが、その事件では、交渉の末、被告の弁護士と合意できたため、京都の裁判所で裁判手続きを進めることができました(このように当事者の合意で決めた管轄を指して、合意管轄といいます。)。

管轄の問題はその他にも様々なケースがありますので、相手が遠くにいるから・・・とお悩みの方がいらっしゃいましたら、一度弁護士にご相談いただければと思います。