弁護士工藤寛太(京都弁護士会)がご紹介する、司法試験の受験資格

京都の弁護士、工藤寛太です(京都弁護士会)。

本日は、司法試験の受験資格についてのブログです。

裁判官、検察官又は弁護士になるためには、原則として司法試験に合格する必要がありますが、そもそも司法試験には受験資格が設けられています。それは、①法科大学院を修了していること、②司法試験予備試験に合格していること、この①②のいずれかを満たしていることです。

法科大学院は、未修者コースと既修者コースに分かれています。これまで法律を学んだことがない方々や、学んだことはあるけれど改めて基礎から学びたいと考える方々は、未修者コースに入学し、3年間みっちり法律を勉強します。一方の既修者コースは、各法科大学院が課す法律科目の試験に合格することにより、1年生を免除され、2年生から法科大学院に入学します。                      この法科大学院を修了すると、司法試験の受験資格が得られます。

司法試験予備試験は、法科大学院を修了することなく司法試験の受験資格を得ることができる試験です。年齢制限はなく、誰でも受験することができるため、大学2年次に予備試験に合格し、大学3年次に司法試験に合格したという方もいるようです。
マーク式の試験が5月、論文試験が7月、口述試験が10月に行われます。合格率は、約3%となっており、相当狭き門です。試験科目は、法律7科目と一般教養科目で、一般教養科目では、文学、歴史、論理、言語、英語、数学、物理、化学など、非常に多岐にわたって出題されているようです。試験問題は法務省のホームページに公開されていますので、興味のある方はご覧ください。

このブログの冒頭に、裁判官、検察官又は弁護士となるためには「原則として」司法試験に合格する必要があると書きました。実は、司法試験に合格することなく法律家になる方法があります。

例えば、法令で定められた大学の法律学の教授又は准教授のうち一定の条件を満たす者は、最高裁判所の裁判官、検事になることができます。
また、これは有名かもしれませんが、検察事務官等の職に就いている者が、副検事選考試験に合格することで、副検事になることができます。            では、弁護士はどうなのか。色々と調べてみたのですが、裁判官・検察官とは違い、大学の教授・准教授でも、司法試験に合格しない限り弁護士にはなれないようです。司法試験に合格せずに弁護士になれるのは、①大学教授・准教授から最高裁判所の裁判官になった者、②法務大臣が認定した特例検事(検察事務官等から副検事となり、さらに試験に合格することで検事となった者)だけのようです。

これらのルートをたどれば、司法試験に合格しなくても法律家になることができます。しかし、これらのルートはいずれも難関で、司法試験に合格する方が簡単かもしれません。少なくとも、抜け道的なルートでないことは確かです。