京都の弁護士真田千雅子(京都弁護士会所属)の独占禁止法紹介②

こんにちは、京都の弁護士の真田千雅子です(京都弁護士会所属)。

 

本日は、独占禁止法で禁止されている私的独占および不当な取引制限について、少しだけ紹介いたします。

 

第3条

  事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

 

私的独占とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいいます(独占禁止法2条5項)。

 

たとえば、市場シェア100パーセントを占めている企業があったとしても、そのことだけで同条にいう「私的独占」に該当するわけではありません。

企業努力によって、より良い商品・サービスを消費者等に提供した結果であれば、それはむしろ推奨されるべきことであり、独占禁止法に違反するものではありません。

当該企業が、自己の市場シェアを維持し続けるために、新規参入しようとする企業に対して何らかの手段を講じた結果、市場に悪影響を及ぼす場合に「私的独占」に該当することになるのです。

 

 

不当な取引制限とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいいます(独占禁止法2条6項)。

 

たとえば、市場において有力な地位にある事業者Aと事業者B(いずれも商品Xのメーカー)とが、商品Xの小売価格が下がらないように、価格をいくらにするか相談・決定・実行などすることをいいます。

 

私的独占も不当な取引制限も、市場メカニズムを乱す行為であることから、独占禁止法によって禁止されているのです。