弁護士工藤寛太(京都弁護士会所属)の刑事手続案内(2)

京都の弁護士、工藤寛太です(京都弁護士会所属)。

本日は、刑事手続のうち、被疑者が逮捕されてから、検察庁に送致されるまでの手続をご紹介します。

 

以前のブログでご紹介したとおり、罪を犯したと疑われるものは、被疑者と呼ばれ、捜査の対象となります。
被疑者は必ず逮捕されるのかというと、そうではありません。例えば、自動車の人身事故は、刑法の自動車運転過失致死傷罪等の犯罪に該当し、事故を起こした人は、法律上は被疑者として扱われます。しかし、人身事故を起こした人がみな逮捕されるかというと、そうではありません。
逮捕は、逃亡や証拠隠滅を防止するための措置なので、警察、検察及び裁判官が、「この被疑者には逃亡・証拠隠滅のおそれがない」と判断すれば、逮捕されません。
逮捕されない被疑者は、普段どおり生活し、警察・検察からの呼び出しがあれば、警察署や検察庁に出向いて、そこで取調べを受け、終われば家に帰る、という形で捜査が進みます。
一方、住居が不定である、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、その被疑者は逮捕されることになります。逮捕された被疑者は、たいていは警察署内の留置施設で生活することになります。

 

警察官に逮捕された被疑者は、逮捕から48時間以内に、警察署から検察庁に送致されます。具体的には、被疑者は警察署の留置施設を出て、警察車両で検察庁に行き、検察官の事情聴取を受けます。この手続を「送検」と呼んでいます。

テレビで「書類送検」という言葉をよく耳にするかと思いますが、これは逮捕されていない被疑者の場合に用いられる言葉です。逮捕されている場合には、被疑者自身が警察車両で検察庁に行くことになるのですが、逮捕されていない場合には、被疑者自身が警察車両で検察庁に押送されることはなく、事件に関する書類だけが検察庁に送られることになります。そのため、「書類」送検と呼びます。

 

以上が検察官に送致されるまでの刑事手続です。
次回のブログでは、検察官に送致されるまでの手続の中に、弁護士がどのように関与するのかをご紹介しようと思います。