京都の弁護士鈴木順子の離婚のポイント紹介(面会交流について②)
こんにちは、京都の弁護士の鈴木です。
朝食で召し上がった方も多いかと思います。
関西ではまだ松の内ですが、七草粥を食べるとお正月も終わった気持ちになります。
今日は、前回に引き続いて、離婚の際のポイントの1つ、
面会交流についてのブログです。
前回、面会交流をすることが決まっている場合、子どもを同居していない親(非監護親)と会わせないことは、「監護親は、非監護親が子と面会交流することを許さなければならない」義務の違反であるというお話をしました。
実際、面会交流の際に定めた条件を守らなかった、
たとえば、子どもを引き渡す(個人的には違和感のある用語なのですが、裁判所等では、この用語を使用しているので、そのまま使います。)と約束した場所や時間に、非監護親に対して子を引き渡さなかったり、
非監護親と子との面会交流を妨害するなどした監護親に対し、裁判所が「間接強制決定」をすることができる場合があるとされています。
間接強制決定とは、裁判所の判決等で、何らかの行為をしなければならないと定めたにもかかわらず、当該行為をしなかった場合に、不履行の期間や回数に応じて金銭を支払うことを命じる決定です。
面会交流の場合は、家庭裁判所の審判で面会交流の条件を定めたにもかかわらず、
監護親が非監護親に対し面会交流を許さなかった(面会交流の際に定めた条件に違反した)回数1回につき、
監護親が非監護親に対し金銭を支払うという命じる決定などが考えられます。
実際、監護親に対し、面会交流を許さなかった回数1回につき5万円を非監護親に支払うよう命じた決定もあります。
この決定の事案でも、監護親は「子ども自身が非監護親との面会交流を拒絶している」と反論していますが、裁判所はそのような理由は面会交流を許さないことを認める理由とはならないと判断しています。
もっとも、面会交流を許さない事案の全てで間接強制が認められているわけではありません。
実際に間接強制決定が下るような面会交流の条件を決めるためには、弁護士の専門家の知識が必要となります。また、そもそも、子どもの利益などを考えた場合には、そのような条件の決め方をしない方が望ましいケースも多いといえるからです。
さらに、間接強制決定が下った場合も、監護親が面会交流を許さなかったからといって、その都度自動的に非監護親の口座に強制金が振り込まれるというものではありません。
弁護士として様々な面会交流の事案に接していますが、
結局、子どもの利益となる面会交流を実現するためには、父母双方の協力と理解が必須といわざるをえない
という当たり前のことを実感するばかりです。
とはいえ、離婚の際に面会交流をすると決めたのであれば、監護親が、非監護親と子どもを会わせないようにするというのは、一度した約束を守っていないことに違いはありません。
お子さん本人が非監護親に会いたくないと言っているなど面会交流ができない・望ましくない事情がある場合には、一度決めた面会交流を禁止したり、面会交流の条件を変更するために、非監護親と話し合ったり、家庭裁判所へ調停や審判を申し立てることが必要になるといえます。
それでは、実際に面会交流においてどのような条件を決めるのか。
これについては、次回のブログでご紹介いたします。