京都の弁護士鈴木順子の離婚のポイント紹介(養育費について①)

こんにちは、京都の弁護士の鈴木順子です。

今日は全国的に気温が下がり、雪で交通網等がかなり乱れているようですね。大変な思いをされた方も多いかと思います。

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京都でも雪がふり、寒々とした1日でした。

 

今日は、先日の面会交流に引き続き、離婚のポイントの1つ、養育費についてのブログです。

養育費とは、未成熟子が社会人として独立自活ができるまでに必要とされている費用を指します。

未成熟子とは、社会的に独立していない子を指す用語で、基本的には未成年者を指しますが、そうでない場合もあります(後で詳しくご案内します。)。

離婚に関する法律相談をお伺いしているなかで、既に離婚は成立しているものの、離婚の際に決めたのは親権だけで、養育費についてしっかり決めないまま離婚してしまった、生活が苦しいがどうしたらよいか、という趣旨のご相談を受けることがあります。

法律上は、離婚の際に決めるべき事項の1つとして、「子の監護に要する費用の分担」が挙げられており、養育費を誰がいくらいつまで支払うべきか、離婚の際に決める必要があるとされています。

しかし、日本の実務上、離婚すること、未成年の子どもの親権者をいずれにするか、その2つについて双方が合意していれば、養育費その他の事項を定めずとも、離婚届の書式を整えることができます。書式の整った離婚届を提出すれば、離婚が成立し、戸籍上も夫婦ではなくなります(ただし、未成年の子どもの戸籍を変えるには別の手続きが必要となります。)。

一刻も早く離婚したいという方にとっては、たしかに便利な制度なのです。

しかし、一般論に、養育費等離婚の際に決めるべき事項について、離婚後に決める場合には、離婚前に決める場合と比較して、双方にとって、その労力・負担(場合によっては費用)がかなり大きくなります。

AB間の離婚においてCの養育費を決める場合、弁護士が関与していると、

「Aは、Bに対し、Cの養育費として、平成28年1月から同人が満20歳に達する日の属する月までの間、月額5万円を毎月末日限り、××銀行○○支店のC名義の普通預金口座(口座番号△△)に振り込む方法により支払う。」

などの決め方をします。

この1文は、父親Aは母親Bに対し、Cの養育費として、平成28年1月31日からCが20歳になる月の末日(たとえば、Cが平成20年10月1日生まれであれば、平成40年10月31日)までの間、毎月5万円をC名義の口座に振り込まなければならないことを規定しています。

このような定め方をすると、養育費を誰がいくらいつまで支払うべきか、具体的にどこに振り込むのか、誰が見ても明らかであるといえます。

養育費についてきちんと定めていた場合は、万が一、Aが養育費を支払わなくなったとしても、BはAの給与や財産を差し押さえることにより、養育費を確保することが可能になるのです(もっとも、養育費の定め方次第では、給与等を差し押さえる前に訴訟等を提起しなければならない場合もあります。)。

 

それでは、養育費はいつまで支払うことになるのか。基本的には父母の話し合いによって決まることになりますが、家庭裁判所においては、離婚する夫婦間の子どもが未成熟子といえる期間まで、と考えています。

基本的に未成年者の間は未成熟子であると考えられていますが、父母の学歴、生活レベルに鑑みると、子どもに大学教育などの高等教育を受けさせることが親の生活水準と同等の生活水準を維持させるために必要であるといえる場合は、子どもが大学を卒業するまでは社会的に独立していないとして、20歳を超えていても、未成熟子であると扱われることになります。

他方、高校を卒業して直ちに就職して働いている子どもの場合は、既に社会的に独立しているとされ、18歳、19歳であっても、未成熟子ではないものと扱われます。

 

次に養育費の金額の決め方ですが、これは次回のブログでご案内いたします。