弁護士工藤寛太(京都弁護士会)の弁護士法7条案内

京都の弁護士、工藤寛太です(京都弁護士会)。

本日は、弁護士法7条についてのブログです。

弁護士法7条は、弁護士の欠格事由を定めた条文です。
あまり考えたくない話ですが、弁護士の資格が絶対的に一生涯保障されるかというと、そうではありません。

弁護士法7条によると、次の5つのいずれかに該当する者は、弁護士となる資格を有しません。①禁錮以上の刑に処せられた者、②弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者、③懲戒処分により除名された者、④成年被後見人又は被保佐人、⑤破産者であって復権を得ない者

禁錮以上の刑                                禁錮という刑は初めて聞いたという方も多いと思います。懲役と同じく刑務所に拘置されるのですが、懲役と違って刑務所内で労役をすることを義務付けられません。欠格事由は禁錮以上の刑ということですので、禁錮よりも軽い罰金刑を受けたとしても、弁護士の仕事を続けることができます。

②弾劾裁判による罷免                             弾劾裁判というのは、国会議員により構成される弾劾裁判所が、裁判官をクビにするかどうかを判断するという制度です。この弾劾裁判によりクビにされてしまった裁判官は、弁護士にもなることができません。

③懲戒処分による除名                             弁護士としてあまりに不適切な行為があった場合、懲戒処分を受けることがあります。戒告、業務停止、退会命令及び除名という4つの処分があり、行為の悪質性によって、科せられる処分が変わります。                       退会命令を受けると、所属弁護士会から退会させられてしまいますが、弁護士となる資格自体を失うものではありません。例えば、京都弁護士会から退会命令を受けても、大阪弁護士会に登録することは可能です(大阪弁護士会が、京都弁護士会から退会命令を受けた弁護士を受け入れるかは別問題ですが。)。一方、除名処分を受けると、3年間はどこの弁護士会に登録することもできなくなります。弁護士は、どこかの弁護士会に必ず登録しなければなりませんので、弁護士としての資格を失うことになります。

成年被後見人被保佐人                           成年被後見人被保佐人は、精神上の障害により事理を弁識する能力が欠けていたり、不十分である者です。弁護士業務を行うことが困難であるとして、欠格事由とされているものと考えられます。

⑤破産                                    破産すると、復権するまで(典型的には、裁判所が「借金をチャラにします」と決めるまで)は弁護士登録ができなくなります。どうしてこういったルールになっているのか、その立法趣旨は不明確ですが、このルールがある以上、弁護士は破産することがないよう注意しなければなりません。「破産する弁護士なんていないだろう」と思われるかもしれませんが、現在の制度では、大学・法科大学院奨学金と司法修習中の修習資金の貸与金を合計して、500万円以上の借入れをして弁護士になっている方も珍しくありません。これだけの借入れをして弁護士になっても、現在弁護士業界は未曽有の就職難です。せっかく弁護士になったものの、破産せざるを得ないという方も、もしかしたら出て来てしまうのかもしれません。私も、修習資金の貸与を受けているので、他人事ではありませんが…。