弁護士工藤寛太(京都弁護士会所属)がご紹介する、弁護士と司法書士の違い

京都の弁護士、工藤です(京都弁護士会所属)。

以前のブログで、法律事務所と法務事務所の違いについてご紹介しました。本日は、同じように友人等からよく質問される、「弁護士と司法書士は何が違うの?」という問いに回答いたします。おそらくこの質問が出てくるのは、債務整理や過払金請求について、弁護士も司法書士もテレビCM等の広告を行っているからだろうと思います。

原則的なルールとしては、法律相談を受けたり法律行為の代理をすることができるのは、弁護士だけです(弁護士法72条)。しかし、司法書士のうち、法務大臣の認定を受けている場合には、簡易裁判所における訴訟代理権が与えられ、その範囲で法律行為の代理をすることができます。訴訟の目的物の価額や紛争の目的の価額が140万円以下であるときは、簡易裁判所の管轄になるため、司法書士も代理権を持ちます。そのため、借金の額が140万円以下であれば、司法書士であっても、債権者との交渉権や、簡易裁判所における過払金の支払い請求などが可能です。

このように書くと、弁護士の方が司法書士より仕事の幅が広いという印象を持たれるかもしれません。確かに、法律相談や法律行為の代理という職務領域に関しては、弁護士と司法書士の業務は重複しており、上記のような違いがあります。しかし、そもそも弁護士と司法書士の仕事というのは、全くの別物です。司法書士は、登記や供託の専門家であり、その分野に関しては弁護士よりも知識や経験が豊富な方々ばかりだろうと思います。弁護士として仕事をする中で、司法書士の先生の知恵をお借りしたことがあるという弁護士は少なくないと思います。

「弁護士と司法書士は何が違うの?」という質問に対しては、「全然違う職業です」と回答するのが正解なのかもしれません。