弁護士工藤寛太(京都弁護士会所属)の公用文用字用語案内

京都の弁護士、工藤寛太です(京都弁護士会所属)。

本日は、公用文の用字用語についてのブログです。

公用文とは、国や公共団体が出す公式の文書に用いる文章のことをいいます。裁判所や検察官が作成する公式の文章は公用文にあたります。一方で、弁護士が作成するものは公用文にはあたりません。しかし、弁護士であっても、特に裁判所に提出する文書は公用文に準じるものとして、公用文のルールに従って書くべきだというお考えの弁護士もたくさんいらっしゃいますし、私もそのお考えには賛同します。

さて、公用文では、内閣告示等によって、漢字や送り仮名についてのルールが定められています。本日は、その一例をご紹介いたします。

私たち弁護士がよく使用する用語として、「さしおさえ」があります。これは、名詞として使用する場合には「差押え」という送り仮名になりますが、動詞として使用する場合には、「差し押さえる」という送り仮名になります。また、名詞として使用する場合でも、後ろに別の名詞が付く場合には、「差押命令」というように、送り仮名がなくなります。
このルールは、「さしおさえ」に限らず、広くほかの言葉にもあてはまります。ほかに弁護士がよく使う言葉として、「もうしたて」がありますが、これも名詞であれば「申立て」、動詞であれば「申し立てる」、後ろに名詞が付くと「申立人」となります。
ほかにも、「ない」という言葉は、「行かない」という使い方をする場合には平仮名ですが、「お金が無い」という使い方をする場合には漢字になるというルールもあります。
面白いという表現が適切かは分かりませんが、公用文の用字用語例には、思わず「へー、そういうルールになってるのか!」と言いたくなるような色々なルールがありますので、興味のある方は用字用語例集等を手に取られてください。