弁護士工藤寛太(京都弁護士会所属)の司法修習案内(3)

京都の弁護士、工藤寛太です(京都弁護士会所属)。

本日は、司法修習案内第3弾として、弁護修習についてご紹介します。

 

弁護修習とは、その名のとおり、弁護士の業務を勉強する修習です。各修習生は、1人1つの弁護士事務所に配属され、2か月間その事務所内で、みっちり指導担当弁護士の指導を受けることになります(なお、私は配属地が神戸だったので詳しいことは分からないのですが、京都は少し特殊で、配属地が京都の修習生は、1人2つの弁護士事務所に行くことができるそうです。)。

 

本来であれば、弁護士事務所の中には、その弁護士事務所の職員でなければ入ることができません。弁護士事務所内には、プライバシーに関する情報が山のようにあるからです。しかし、司法修習生守秘義務を負っており、司法修習中に見聞きしたプライバシーに関する情報は、絶対に他言してはなりません。この守秘義務を負っていることを前提に、司法修習生が弁護士事務所内に入ることが許されます。

 

さて、弁護士業務を勉強するとは、具体的に何をするのか。これは基本的に指導担当弁護士に委ねられています。忙しさ、厳しさ、及び開始・終了時刻などは、指導担当弁護士が修習生にどのような課題を与えるのかによって変わってきます。
一般的には、事件の資料(弁護士はこれを「記録」と呼んでいます。)を読み、法的にどのような問題があるのかを検討した上で、指導担当弁護士と議論をしたり、訴状等の書面を作成して指導担当弁護士の添削を受けたりします。また、事件の記録を検討した上で、裁判傍聴に行くことも頻繁にあります(傍聴席ではなく弁護士の席に座らせてもらえることもあるので、最初はとても興奮します。)。そのほかにも、事件の現場を見に行ったり、刑事事件の接見(面会)に同行したり、株主総会を傍聴したり、弁護士会の委員会活動を傍聴したり、いろいろなものを見聞することができます。

 

「一般的には」と言うからには、少し変わった弁護修習を経験している修習生もいます。例えば、ある弁護士事務所では、毎週1回外国人講師を招いて英会話レッスンをしており、その英会話レッスンに毎週参加していた修習生もいました。「無料で週1回の英会話レッスンが受けられるなんて、すごくラッキー!」と思いきや、法律用語が飛び交うとてつもなくハイレベルなレッスンで、1時間半ただボーっと座っているしかなかったそうです。

また別の修習生は、配属になった弁護士事務所に所属する、あらゆる弁護士の出張に着いて行き、仙台、東京、名古屋、広島、福岡などなど、毎日のように新幹線や飛行機で長距離移動を繰り返していました。

 

ほかの修習についても、少し変わったエピソードなどを交えつつ、随時ご紹介できればと考えています。